脇町のうだつの町並み|徳島県美馬市
もとは城下町 藍の集散地として栄えた脇町
徳島県美馬市の脇町にあるうだつの町並みに行ってまいりました。近くには人気ラーメン店のくにおかがあります。

うだつとは建物の両脇に卯の字に張り出した漆喰塗りの小屋根付きの壁。漢字では卯建と書きます。もともとは装飾と防火を兼ねたものだったそうですが、とてもお金がかかることから装飾の意味合いが強くなりました。やがて富や成功の象徴となります。

多少の効果はあったにしても、確かにこれで火事を防げるとは思えないですね。うだつはことわざ「うだつが上がらない」の語源となっており、ここ脇町ではうだつを上げることが目標の一つでもあったのでしょう。

多くのうだつがあるということは、ようはお金持ちの町であるともいえます。

脇町ではうだつ上げて男はやっと一人前。そんな気風があったあったのではないでしょうか。

こちらは街中にあった公衆電話。ボックスがレトロでお洒落ですね。

ここは観光文化資料館。うだつの町並みに関する資料が展示してありました。


同じように見えるうだつもよく見ると微妙に違っていたりして、面白いですよ。




このように並んでいると違いが分かりやすいですね。

こちらは小野五平の生家。泊り客の指す将棋に魅了され、7,8歳のころには町一番の将棋指しになっていました。19歳で江戸に出て名人・天野宗歩に弟子入り。1890年(明治23年)には第12世名人となりました。四国出身では唯一だそうです。

脇町では昔から残ると思われる建物にはほぼうだつが上がっています。




もとは脇城の城下町として造られた脇町。脇城の城代であった稲田植元は、自由に商いができる楽市楽座を開き、土地の税金も免除。生国も問いませんでした。そのため脇町はたいへんにぎわいます。

その後、稲田家は淡路に転封。家禄一万四千のうち四千は脇町に残り、猪尻侍と呼ばれました。

町衆や猪尻侍のもと自由な気風があった脇町。吉野川には船が行き交い街道には人馬があふれ、藍の集散地として栄えました。

それでこんな立派なうだつがいくつも生まれたのです。


こちらは国見家のお屋敷。1707年(宝永4年)に建てられたもので、この通りでは最も古い建物だそうです。当時の敷地は表通りから吉野川までありました。川岸の門から石段を下って船着き場に出ることができたそうです。

国見家のうだつ。

通りの中腹からの風景。



こちらの二階のこのような窓はむしこ窓。虫かごに似ているところからこう呼ばれます。格子は木や竹に縄を巻き芯として使用。練土を塗って漆喰で仕上げてあります。役割は盗難除け、部屋の明かりとり、換気など。装飾的な意味も持つようになりました。


こちらは森家のお屋敷。森家は16世紀後半からこの地に居を構えており、18世紀の半ばから醸造業を営んでいました。現在の建物は1880年(明治13年)に建て替えられたものです。7代目のご主人が郵便局長をつとめられ、当時の窓口がそのまま残っているとのこと。また、9代目のご主人が開業医であり、開業当時の診療施設も残っているそうです。見てみたいですね。

右側が森家のうだつ。

入口の扉の上には家紋らしき模様があります。

脇の板にも彫刻が施されていました。


こちらは田村家の屋敷。1711年(宝永8年)に建設され、この通りでは2番目に古い建物です。うだつを取り入れる前の様式ということで、なるほどうだつがありません。当時は表通りから吉野川のそばまで敷地であったといわれています。お屋敷は藍商を営む赤谷屋のもので、田村家は明治初期に入居されたそうです。

こちらは吉田家住宅。1792年(寛政4年)創業の藍商で、屋号を「佐直」といいました。脇町の中では最も多いな敷地を所有していたそうです。

一般公開もされている吉田家住宅。有料ですがお屋敷内も見学できます。見どころも多いのでオススメですよ。

こちらは二段構えのうだつ。

かっこいいです。

今までとは少し変わった趣のお宅。

うだつの町並みはまだまだ続きます。



通りの途中にあった井戸。この井戸の所で道が少し曲がっています。

井戸の先のうだつの町並み。



脇町は図書館も江戸時代風の外観をしています。向かって右側のうだつは一階から二階まで伸びており、おそらく最長のうだつでしょう。

脇町図書館のお隣は農業倉庫。

中にはお神輿が安置されています。

うだつの模型もありました。

こちらは野崎家のお屋敷。1791年(寛政3年)の建物です。初代野崎儀平が1856年(安政3年)に呉服商を創業して財を成しました。呉服屋さんは現在も続いており、屋号は「さのぎ」。当時から続く呉服商は唯一だそうです。電話番号は脇町一番でした。昔は電話番号が一桁とかでシンプルなんですよね。明治時代には伊予(愛媛県)や讃岐(香川県)にまで商圏を広げたそうです。

野崎家のうだつ。

こちらのお宅の表にあるのは格子造り。細い角木を縦や横に組み合わせ、窓や出入り口に取り付ける建具だそうです。こちらはもともとお店で、出入り口のところは太い角木を使って隙間を大きくし、中がよく見えるようになっているそう。太格子と呼ばれます。お座敷の前には細い角木を使って隙間なく組み合わせ、中が見えないようになっている。工夫がされていて、なおかつお洒落ですよね。

こちらのお宅のうだつ(左側)。

通りのおわりまでうだつがありました。


通りの端から見たところ。

ちなみにうだつの町並みの仕切弁はこちらです。

立派なお屋敷とうだつが並ぶ脇町の通り。これだけ多くの建物が残っているというのは貴重ですよね。雰囲気もよく見応えもありました。
- スポット名脇町うだつの町並み
- 料金見学無料
- 住所徳島県美馬市脇町大字脇町
- 徳島県美馬市脇町大字脇町
- 電話番号0883-53-3066
- 営業時間見学自由
- 休業日見学自由
- 駐車場有
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