豪商の町屋 壽丸屋敷｜宮城県白石市

明治から大正にかけて建てられた壽丸屋敷

宮城県白石市にある壽丸（すまる）屋敷に行ってまいりました。壽丸屋敷は渡辺家のお屋敷で、明治中期に建てられました。渡辺家は白石和紙、呉服屋、質屋、味噌醤油の醸造、塩問屋、不動産賃貸、林業、金融業など幅広い商売をされていた商人の家柄です。渡辺家は家紋が”丸に三つ丸”。三つ丸に外側の丸を加えて四つ丸とし、それがスマルになったそう。

こちらの門から入ります。

店蔵、書院座敷、居室部、金庫蔵からなる壽丸屋敷。店蔵は明治中期、母屋と金庫蔵は1923年（大正12年）、門は明治後期もしくは大正初期に建てられました。

お庭には池もあります。

洋間

玄関から右手にある洋間。和洋折衷の部屋で窓は洋風。

床の間は和風になってます。

和室（居室部）

玄関からみて正面から左手にかけては和室。

とても広くて5つほどの部屋があります。

柱や長押（なげし：柱から柱を水平につなぐ木材）、天井板には節がなくて柾目（まっすぐに木目）の杉を使用。豪勢ですね。また天井が高く明り取りがあります。（写真の右上にちょっと写ってます）

鴨居の上にはダルマが並んでいました。

こちらの部屋には着物が展示してあります。さすがは呉服屋さん。

床の間の前の畳にご注目。畳が通常より長いんですが、これは床の間の柱に継ぎ目をあわせるため。手が込んでますね。

またこの部屋は茶の湯が点てれるようになってます。つくずく手の込んだお部屋ですね。

廊下

廊下には桜の木を使ってあって、一枚一枚幅が違います。しかも床は外側に向かって25/100の勾配で斜めに下がっているとのこと。見ただけでは分かりませんが、凝ったつくりです。さらに左上の丸太は杉で、根本と先の太さが変わらない貴重な物。一見普通の縁側が実はとんでもない代物なんですね。

ガラスは大正期の物でで凹凸があります。

こちらは裏手の廊下。

書院座敷

こちらは居室部の左奥にある書院座敷。この化粧部屋には明り取りがあります。書院座敷のふすまは芭蕉布（沖縄、奄美群島の特産品）で、建築当時のもの。

化粧部屋の奥のお座敷。

お気づきでしょうか。書院座敷は長い畳が敷かれているんです。

金庫蔵

さらに奥にある金庫蔵へ。

階段は急なので気をつけましょう。

2階の様子。

色々な物が置いてありました。

非常に趣のあるタンス。

ちょっとした書籍もありました。

店蔵

そしてこちらは店蔵。現在でも骨董屋として営業されています。

明治から大正にかけての貴重な建築である壽丸屋敷。ただ見ただけでは気づかないような細かいところまで手の込んだ造りになっています。時間の許す限りじっくりと見学していただきたいですね。