来客用なのに大豪邸!旧石田理吉邸|秋田県横手市増田
来客用の三階建て大豪邸 旧石田理吉邸
秋田県横手市増田にある旧石田理吉邸に行ってまいりました。1819年(文政2年)に本家の石田久兵衛家から分家し、戦前までは醸造業、戦後は病院を開業した家柄。ご主人は石巻の病院の院長さんということです。三階建てのこちらの建物、実は来客用。維持が大変ということもあって横手市に寄付されました。雨漏りなどもあったため、横手市で修復をして公開されています。増田で公開されている家屋で唯一人が住んでいない旧石田理吉邸。婦人会の方がボランティアで案内してくださいます。この日はたまたま佐藤又六家の奥様がいらっしゃってました。
内蔵一階
こちらは内蔵。内蔵は1881年(明治14年)に5代のご主人によって建てられました。
そしてこちらが入口になります。扉も重厚な造りですね。
これは四段蛇腹といって明治の蔵の特徴です。
上には家紋が描かれていました。丸に違いヒイラギという形で、本家とは重なりが逆だそう。本家と分家の違いを明確にすることが目的だそうです。
一階は蔵座敷。当主の生活の場として使われることが多いようです。
床もいい材木を使われているんでしょうね。
右手には箪笥や屏風が展示してありました。
家具も趣がありますね。
そしてこちらが蔵座敷。
蔵座敷の奥にも入口があります。
お座敷には琴や屏風が展示してありました。
欄間は桐を使用。
絵柄は松竹梅、たけのこ、月に叢(くさむら)雪ということです。
床は紫檀(シタン)、黒檀(コクタン)、鉄刀木(タガヤサン)などを使用。この3つは唐木3大銘木だそうです。
紫檀は仏壇や仏具、床柱のよく使用されます。黒檀は重くて堅く、木目はほどんど見えません。
鉄刀木は重くて堅く比重が重いので水に沈みます。まるで鉄の刀のようだということで鉄刀木という字があてられました。
内蔵二階
こちらは内蔵の二階。役割は文庫蔵ということです。
階段もしっかりとした造りですね。
扉もあります。
梁は樹齢5〜600年の杉で、重ね梁です。棟木に付いているのは「はま矢」。わらしは鼻緒を切ってあり、歩く必要はない、職人の修理はいらないという自信の現れだそうです。
石田家から寄贈された物を展示してありました。
主屋一階
こちらが主屋の一階です。置いてあるテーブルは欅(ケヤキ)の板でかなり重いそう。
ふすまはどこかかわいい作りです。
床の間の床柱は石楠花(シャクナゲ)。台湾のものだそうです。
床の間は部屋を広く見せるために、わずかに弧を描いているとのこと。これは言われないと分かりませんね。言われても微妙にしか分からないくらい繊細です。
この虎の絵は酒田(山形)は本間家お抱えの絵師の作。昔の人は実際に虎を見たことがなかった為、想像で描いています。そのためネコに似ているということです。ちなみに本間家は酒田の豪商で、「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」といわれたほど。実際、本間家があった庄内藩よりもお財力があったそうで、日本一の大地主ともいわれました。
天井は大和張りという張り方。杉目がきれいに見えるそうです。
欄間の絵柄は凝ってました。
こちら側の欄間はたぶん高級木材の黒柿。
廊下は欅(ケヤキ)の板です。
お座敷の隣の部屋。たぶんお茶の間でしょう。畳からして茶の湯が沸かせるようになっていると思われます。
主屋二階
こちらは主屋二階の廊下。手前が和室、奥が洋間なんですが、この廊下も和室の前と洋間の前で区別されており、手すりが和木と竹になっているそうです。
廊下の天井も違いました。(写真は手前が洋間で、奥が和室)
和室に飾ってあるこけしの材料は槐(エンジュ)の木。延寿という漢字があてられていて、縁起のいい木材です。
ちなみに和室と洋室では欄間、壁、すふま、そして屋根まで明確に区別されています。
欄間とか壁、ふすまに関しては見比べれば、その違いがすぐに分かるでしょう。
そしてこちらは洋間です。後ろに飾ってある絵画は館岡栗山。昭和に活躍した日本画家です。
富士山は刑部人(おさかべ じん)。昭和に活躍した洋画家です。
ソファーの後ろにはカメの剥製がありました。
この洋間の見どころはなんといっても折り上げ天井。
排気口も備えています。
非常に手の込んだつくりでした。
主屋三階
こちらは主屋の三階の廊下です。廊下には梨の木を使用。以前は窓から増田の花火大会が綺麗に見えたそうです。
三階は大広間になっています。
かなりの広さですね。
床の間もありました。
三階の天井には松の木を使用されているそうです。
旧石田理吉邸は前庭の木造三階建て。増田の街では特殊な配置だそうです。三階建ての家屋は現在でも珍しく、主屋は1939年(昭和12年)の建造ということでかなり希少。戦前には一時期、藤田嗣治、(三階に飾ってあった絵画の)館岡栗山など著名な画家が逗留されてこともあるそうです。とても立派な建物で、非常に見応えがありました。
- スポット名旧石田理吉邸
- 料金300円
- 住所秋田県横手市増田町増田字中町103
- 秋田県横手市増田町増田字中町103
- 営業時間9:00~16:00
- 休業日月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日) 12/29〜1/3
- 駐車場無料駐車場有り
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