天守や石垣がない城 久保田城跡｜秋田県秋田市

佐竹氏の居城だった久保田城

秋田県秋田市にある久保田城跡に行ってまいりました。久保田城は久保田藩（秋田藩）初代藩主・佐竹義宣が築城したお城です。佐竹氏はもともと常陸（現在の茨城県）をおさめていましたが、1602年（慶長7年）に秋田に入封。翌1603年にこの久保田城を築城しました。現在は後千秋公園として開放されています。ここは大手門跡。

この蓮の花が咲いているのは大手門の堀です。

現在はこの中土橋門跡が後千秋公園のメインの入口。

左手に広がるのは穴門の堀。

この柳は穴門の柳というそうです。

この辺りには松下門という門がありました。

こちらが二ノ丸跡。きれいに整備されています。

メイン入口の中土橋門跡からみて右側の入口にあたる黒門跡。

ここは枡形になっていました。

枡形とは道を2度直角に曲げて敵の侵入を妨げる防御の仕組み。お城にはよく設置してあります。

二ノ丸跡から伸びる長坂を通って本丸へ。

この長坂も途中でくねっとなっており、敵の侵入に備えていると思われます。

ここには長坂門がありました。

長坂の先にある御物頭御番所（おものがしらごばんしょ）。御物頭は足軽を指揮してさきの長坂門（または二の門）の開閉や、城下町の警備を担当しました。1758年（宝暦8年）の火事で焼失した後に再建。久保田城内では唯一残っている建物です。

中には休憩所や便所、台所も完備。

この部屋から登城者を監視していたそうです。

こちらは表門。久保田城の正門で、一ノ門ともいわれていました。防衛上の重要地点で、左手には御番頭局（ごばんがしらべや）、下には先ほどの御物頭御番所を置いてあります。築城の翌年に完成しましたが、1633年（寛永10年）や1778年（安永7年）など度々火災に見舞われました。現在の建物は資料や発掘調査を元に再現されたものです。

表門の先が本丸。広々としています。

本丸にあった八幡秋田神社。久保田藩の歴代藩主をお祀りする神社です。2005年（平成17年）1月9日、放火によって残念ながら焼失。現在の建物は2008年（平成20年）に再建されたものです。

こちらは拝殿の奥にあった本殿。

こちらは本丸跡にあった稲荷神社です。

佐竹義堯公の像。佐竹義堯（さたけよしたか）は久保田藩第12代にして最後の藩主です。1915年（大正4年）に佐竹義堯公を慕う旧家臣が銅像を建立。太平洋戦争時に接収されましたが、市制100周年の記念事業として1998年（平成10年）に復元されました。

ここは多門長屋跡。多門とは石垣などの上に建てられた長い建物です。

こちらは奥庭跡。以前は庭があったようです。

ここは埋門跡（うずみもんあと）。埋門は簡単にいうと背の低い門です。

ここも多門長屋跡。以前は長い建物がありました。

この建物は御隅櫓。久保田城内にはもともと8箇所に櫓がありました。ここは本丸北西の隅にあたり一番高い場所です。物見や武器の保管に使われていたそう。資料や発掘調査に基づき、当時の2階建てにくわえて展望台を付けてあります。昔の建物を見るというよりは資料館的な色合いの強いところですね。12/1〜3/31は休館なので要注意。観覧料は100円とリーズナブルです。

中には秋田の歴史や資料などが展示してありました。

初代藩主、佐竹義宣の絵。

昔の久保田城の写真です。

展望台からは秋田の街を見渡すことができました。

この辺りにも以前は多門長屋があったそうです。

こちらは帯曲輪門跡。本丸の奥から二ノ丸の土門へ通じる門だったそうです。

ここがその土門跡。

敷地内にあった彌高神社（いやたかじんじゃ）。1909年（明治42年）に国学者の平田篤胤、経世家の佐藤深淵を祀る神社として創建され、1916年（大正5年）に現在の場所に移られました。

ここは馬場跡。

この立派な木は保存樹で、通称は「馬場のもみ」。

ここは馬場から外に通じる不浄門跡です。

この池は胡月池。まるで日本庭園のようです。

二ノ丸から本丸へと通じるもう一つの道、裏門坂。

裏門坂も一度曲がっています。

そして登った先には裏門跡。この裏門は楼門から平屋に改修されて、市内にある鱗勝院に移築され現存しています。

秋田駅から近くアスセスもいい久保田城跡。もともと石垣がなく、城内の建物もほとんど残っていませんが、現在はとても気持ちがいい公園です。公園として整備されてはいますが、よくよく見るとお城ならではの場所もあったりするので、お城や歴史が好きな方には興味深いスポットだと思います。